来たる2022年3月11日、立命館大学ゲーム研究センターによる2021年度第3回定例研究会をオンラインにて実施いたします。発表者は、大阪大学文学研究科 博士後期課程3年のエスカンド・ジェシ氏です。登録・参加料不要となっております。お誘い合わせの上、奮ってご参加のほど、お待ちしております。
日付 date
2022年3月11日18 :00
場所 place
オンライン(ZOOM)
https://ritsumei-ac-jp.zoom.us/j/97708301962
(Zoom Bombing対策のため、ログイン時にお名前をフルネームにしていただくようお願い致しします。)
発表者 presenter
エスカンド・ジェシ( 大阪大学文学研究科 比較文学研究室 博士後期課程3年)
論題 title
ファンタジーを変えたゲームたち──日本におけるゲームの文化的影響に関して──
概要 abstract
ゲームの影響は──それを受けるにせよ、与えるにせよ──多くの観点から論じられてきた。たとえば、メディア内での発展、ゲーミフィケーションのような他分野におけるゲーム要素の借用、各国間の技術伝播などである。しかし、過小評価されがちな狭義の文化的影響に関する研究は未だに少ない。その中でも、物語性が極めて高いRPG系ゲームは注目に値する。
とはいえ、その不足に対して着目がなかったわけではない。MacCallum-Stewart et al.は、「RPGは、文化的な活動や制作において、広範かつ継続的にその影響を及ぼしている。その中には、トロープ、コンセプト、語り方やステレオタイプのより大衆的文化領域への移行が含まれている」と指摘し1、José Pablo Zagal とSebastian Deterdingは「RPGのトロープによる深い影響はゲームだけではなく、広義のメディア文化にまで及んでいる。しかし、その歴史的遺産がほとんど研究されていない。」2と指摘する。日本では、このようなゲームメデイアから他メディア文化へ広い影響は、ファンタジー・ジャンルを再構築するほどである。
本発表では、発表者の博士論文『現代日本ポップカルチャーにおけるデータベースファンタジー:文化移転のネットワーク化に基づくジャンルの成立と機能』の研究成果を踏まえ、いかに日本の80年代、90年代におけるゲーム受容(アナログとディジタルゲーム双方)がメデイア横断的にファンタジー・ジャンルに変容を促したのかを検証する。
海外TRPG受容、そのデジタルな再現を目標として開発されたRPG系ビデオゲームを中心にパソコンからテレビゲームへの移転、そしてゲーム受容の一環であるファンタジー辞典の果たした役割、西洋趣味的ファンタジー(和製ファンタジー)、などを検証・考慮する。これらを通して、どのように以前になかった多メデイアにわたる日本独自のファンタジー・ジャンルが成立したのかを考える。
1 MacCallum-Stewart, Esther, Stenros, Jaakko and Björk, Staffan, “The
Impact of Role-Playing Games on Culture”, Role-playing game studies:
transmedia foundations (New York: Routledge, 2018年), 184.
2 José Pablo Zagal and Sebastian Deterding, eds., Role-playing game
studies: transmedia foundations (New York: Routledge, 2018年), 9.